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飛鳥彰の詩篇をまとめた詩集

アルカンシエル(愛と平和の哲人)1 / 1 ページ

 

 

アルカンシエル(愛と平和の哲人) 

 

 

 

 

夢は赤色 エーレクトラーの娘イーリスはヘーラーの伝令をつとめ 

大きく撓る雨の弓を携えて嬉々として天を駈けつづけた

ぼくは前に立ち塞がる《開かずの門》を押し開き 赤き血潮の轟とともに

不死鳥の歌を奏で 死に絶えたものの中から蘇生した 夜明けとともに

 

希望は橙色 望みは弧を描く マウイ島には虹を見た者には幸せが訪れる

という伝説があり 見知らぬ者が橋を渡り祝福に訪れる

大地も海もオレンジに染まり 未来に飛翔する翼が与えられる

ぼくは雨上がりの沖に舟を漕ぎ出し青い鳥の鳴く声を耳にする

 

愛は黄色 樹の枝に巻きつけられた黄色いリボンを観たら

ぼくがあなたに託した太陽の色とほとばしる思いを感じて歩き出しなさい

夜に昇る月の光がルナ・レインボウを作り出したら

ぼくの意思にあふれた眉と唇を思い出して目覚めて立ち上がりなさい

 

勇気は緑色 ぼくの牧場に訪れる平和のスペクトル 光の織物

風わたる草原を駆ける仔馬や仔牛どもを追いかけて

ぼくは内側からあふれでる輝きの水流に打たれる 独りつよく

そのむかし 遥かなる夢の岬を越えて行った航海王子たちのように

 

智慧は青色 年老いた農夫は魂まで老いているわけではない

ぼくはことばの畑を耕しながら青々とした一本の栗の樹となる

白樺にもブナの樹にも秘められた生命の神秘が息づいている

問いただす者がいなくても智慧の火は ぼくの前に現われる

 

誓いは藍色 智慧の青は誓いの藍より出てきて藍色よりも青く

煌々と光り出す 虹の弓から解き放たれた雷の矢のように

それは舞踏する舞姫のように一直線に飛ぶ道筋を拓く力だ

ブリヤート人は虹を 天に昇る道だと古くから考えていた

 

涙は紫色 ナスビの形をした涙 ガボンの人々は 人類の祖先は

アルカンシエルを通ってやってきたと深く信じていた 畏れを知った人々

ヤマトでは神々は虹を渡って下界に来たと伝えられている

紫色の瞳から流れ出た美しい涙で 国々は作られた 海をかき混ぜて

 

天空を跨ぐアルカンシエルの車輪に乗って 時をあやまたず

巨人は西の空へと 大いなる滝の轟く地平線へと沈んでゆく 黄金の林檎のように

ゆたかな滋養の光をふりそそぎ 緑野をうるおし 怖れるものを持たず

邪悪なものを寄せつけぬ強さと すべての胸を射抜く壮麗さに満ちて

 

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